SAY SILLY THINGS!

“TEAM H末端構成員”が妄想と現実の狭間で戯れます。

写真家を見つけたら。

先日アップした展覧会『池袋への道』で森山大道氏が西池袋二丁目で暮らしていることを知った。
森山大道氏と言えば大好きな写真家の一人であり、所有する写真集の中でも大道氏の写真集が一番多い。
いや、我らがチョートク翁こと田中長徳氏の写真集の方が多いか(笑)
まぁ、いいや。
ストリートスナップの写真が好きなこともあるが、森山大道氏の写真を形容する『アレ・ブレ・ボケ』にハイコントラストな処理を加えたモノクロ写真には独特の生命力のような滾りを感じるのだ。
それは『人』が写り込んでいる写真に限らず、『街』の一面を写した写真や、不思議なことに『街角の一角』のお店の排煙口の管の一部を切り取った写真からも街という無機物生命体の滾りが迸っている。
そんな氏の写真の舞台の多くは新宿を中心に、中野だとかの写真が多いのでてっきり中央線沿線文化圏にいらしゃるのかと勝手に思っていたら、なんとお隣さん?というか正確にはお隣のお隣さん?
ずっと以前は椎名町の方で暮らしていたようだが、その後離れてまた10年ほど前からは西池袋2丁目で暮らしていらっしゃるとのこと。

西池袋2丁目といえば、西池袋1丁目をはさんで我が家から徒歩10分の圏内だ。
まさか、池袋西口を撮影して廻る森山大道氏に出くわすことが出来るとは思わないが、でも普段氏がブラブラしている路地裏を散策しようと西池袋2丁目に向かった。

西池袋2丁目といえば、お散歩ルートの一つではある。
が、ほぼ上り屋敷通りか自由学園明日館周辺くらいの決まったルートしか歩いてないんで、細かい路地裏は未開の地である。
なんかご近所さんなのに見知らぬ土地を歩くような、そしてひょっとしたらウロつく大道氏をお見かけすることが出来るのではないか?というワクワク感で、足取り軽く西池袋2丁目を散策なのだ(笑)

001Leica M9 P+Voigtlandar NOKTON Classic SC 35mm f1

ということで、我が家の前の劇場通りを南へ。
劇場通りと交差する西池袋通りを渡ると西池袋2丁目となる。
劇場通りは写真の通り終点となるところで、まずは右折して西方面へ向かうことにした。

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池袋という街は過去何度か本ブログのエントリーでも触れたとおり、都内西部の新宿や渋谷といった大ターミナルと並び称されることもあるが、他の2大ターミナルとは毛色が違う。
わかりやすいところでは新宿・渋谷と比べて一段下にみられることではあるが、毛色の違いはそこではない。
駅周辺がほぼ商業圏・ビジネス街でブロック形成される新宿・渋谷と違い、池袋はJR・東武・西武・メトロといった大ターミナル駅であるにもかかわらず、商業圏・ビジネス街と住宅街が近接しているのだ。
だからこそ、新宿・渋谷と異なり街には生活臭が漂い、ダサい、埼玉の植民地、汚い、怖いといった負のイメージも蓄積しやすい。
ような街の成り立ち、あり様から言うと都内のいわゆる作り込まれた都会的な街というよりも、地方の政令指定都市と同じような構造なのである。
ということからボクは以前から池袋を『都内最大の地方都市』と呼んでいる。

そんな池袋の中でもこの西池袋2丁目は一本横路地に入り込むとこの通り、まさに住宅地である。

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しっかりと区画整理された宅地でもなく、街並みは過去と現在、整然とした区画と雑然とした区画がモザイクのように絡み合っている。
このような昭和の香り漂うブロック塀が残っているかと思うと、

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その反対側にはこのような近代的な作りのマンションも建っているのだ。

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西のブロックを一つ一つ路地を徘徊していると、以前紹介したこともある西武池袋線の廃駅跡地上り屋敷駅跡地に出てきた。

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線路を越えた先は目白ということもあり、西池袋2丁目の特徴としては、目白の香りと池袋の臭いが宅地ごとに混在しているところにある。
目白駅から住宅地を通りながら池袋に向かって歩くと、お土地柄の違いが明らかだ。
というのも、やはり目白エリアは昔ながらの御屋敷が綿々と繋がれていることもあり、住宅一つ一つの宅地も広く住宅の作りもデカい。
それが池袋に近づくにつれて宅地も狭く、住宅も小さく階数を増やして上へ伸びていくモノが多くなる。
まさに人生平等などというモノは夢のまた夢でしか無いというコトが実感出来る(笑)
ここ西池袋2丁目というエリアは目白と繋がっていることもあり、目白っぽい土地の広い御屋敷もところどころ残っており、また小さな宅地をまとめて買い取り大きな敷地にして現代の成金向けに販売したような今風な御屋敷もところどころあったりするのが面白い。

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今回初めてありとあらゆる西池袋2丁目の路地を徘徊したので、初めて通りかかった路地がほとんどだったが、そんな初物路地の中に黒ニス塗りのなかなか趣深い木造家屋に出会うことが出来た。
こういう建築物も鉄筋のマンションに囲まれた所にしっかりと根を張って残っているところがおもしろい。

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路地沿いのマンション入り口の一角にお社と言うには作りのしっかりしたお稲荷さん。
延壽稲荷大明神というらしい。

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今回、『写真家を見つけたら』ということで、森山大道をもし見かけたらどうしよう!?それらしき建物を探してたのだが、そもそも大道氏はマンション住まいっぽいんだよな...(^^;)ハハハ。
なので、こちらのGallery Oを見かけたときは一瞬おっ!?と思ったのだが、全然関係の無い物件と思われ(笑)

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道中やたらと『目白庭園』の案内板が建っている路地を進んでいたら、案の定目白庭園に繋がる道に出ていた。
踏切を渡った先の林の白塀のところが目白庭園である。

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路地のドコを歩いていてもこのような昭和の空気漂うところもあれば、

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その反対側は平成の時代感というモザイクもような西池袋2丁目。

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こちらは上り屋敷通り。
突き当たりはJR山手線の線路。右に並走するのは西武池袋線
この一角が西池袋2丁目の南東の端である。

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この辺りはお写ン歩コースで良く歩く区画なので勝手知ったる所だ。
一番のお気に入りはこちらのENGLISH HOUSE YOSHIOKA

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山手線路沿いを歩いていると、以前うちの相方さんが通っていたパン教室の先生のパン教室兼住宅。
こちらのパン教室で修行して検定まで取得した我が家のパン職人は、金沢に引っ越して以降は全然パンを焼いてくれなくなった...(遠い目)。

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磨りガラスの向こうで人が動いていたので思わずパ写リ。

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西池袋2丁目のランドマークと言えばやはりこちらだろう。
自由学園明日館。いまだに中を見学したことがない...(^^;)ハハハ。

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この辺も本ブログで何回か紹介しているレゴ住宅。
同じ企画の建売住宅が10棟並んでいるのが壮観(笑)

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そんな平成風な建売区画があるかと思えば、このような昭和で時が止まっているような脇路地もあり。

038Leica M9 P+Voigtlandar NOKTON Classic SC 35mm f1 4西池袋二丁目写真家を見つけたらHONDA MAGNA

階段の下にはもう何年置きっぱなしなんだろうか?というHONDA MAGNA

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もう蔦が絡まりまくり廃墟と化している木造アパート。

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こんなところに鼈甲眼鏡枠の製作所なんかもあるという。渋いな!

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西池袋通り沿いの事務所向けテナントビルが建ち並ぶすぐ裏に物干し台の付いた木造家屋があったり。

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ぐるりと回ってまたいつものお散歩コースの1枚。

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そんなこんなで西池袋通りに舞い戻ってきた。
当然のことながら大道氏も大道氏らしい人を見かけることもなく西池袋2丁目の路地から路地へ彷徨ったが、昭和エリアと平成エリアがある程度分かれている池袋1丁目・2丁目と違い、ここは昭和と平成がモザイク模様のように入り交じっている。
その面ではドコの路地を彷徨ってもオモシロいエリアである。

しかしいつかは路地を曲がったら大道氏らしい方に出くわしたいモノである(笑)