SAY SILLY THINGS!

“TEAM H末端構成員”が妄想と現実の狭間で戯れます。

凝るくらいならシンプルがいいカレーライス

Japanese Curry Rice (カレーライス)

『結婚』とは、赤の他人同士が一つ屋根の元に暮らし、人生をともにする生活様式である。 同じ価値観・嗜好・性格も似通った♂♀通しが良いのか、お互いの欠点を補い合える違うタイプ同士の♂♀が良いのか答えはない。

我が家といえば、趣味・嗜好も性格も全く異なる♂♀でこれまで8年間やれてはこられた。 ボクは、とりあえず性格は大雑把。何事にも白黒は分けずに、グレーとされる部分をその時々の解釈でどうするかを判断するタイプである。多分に『感覚的』と指摘されることは否めない。 うちの相方さんといえば、几帳面で何事にもしっかりと白黒はっきりしないと気が済まないタイプである。

この性格は料理を作るときに如実に表れる。 ボクは結婚以来ほとんど家で料理は作らなくなってしまったが、結婚までの15年近い独身生活の中で、結構自炊をしてきた方であり、とりあえず家庭料理くらいは作れる腕はある。 特にレシピを見るまでもなく、なんとなくこんな感じだろうなぁ~という感覚的なモンで調理してしまうタイプである。 かたやうちの相方さんは、レシピにキッチリと従いながら作り上げるタイプなのだ。

料理の中でもこの性格的なものが災いするケースがある。特に『カレーライス』。 一人暮らしをするようになって以来、何百回とカレーを作ってきたボクではあるが、結婚生活をするに当たり、この『カレーライス』だけは作るまい!と心に決めたのである。

というのも、ボクの作るカレーライスがカレーライスとして美味しく出来上がっていたのは、おそらく貧乏生活だった学生時代の出来が一番なのである。 社会人になって小銭を稼ぐようになり、家のキッチン周りに調理器具だの調味料だのが充実していくにつれ、ボクの作るカレーライスはどんどん『カレーライス』とはほど遠い食べ物になっていったのだ。

キッチンで、何が起こっていたかというと、学生時代に見よう見まねでカレーを作り出したころはまだ、必要最低限のモノしかキッチンにはなく、普通に何の変哲もないカレーが出来上がっていたのだ。 しかし、キッチン周りが充実してくるとアレ入れてみようか?とか今度はコレを試してみようか?とかさまざまな誘惑に駆られることに...。 カレーにチョコレートをいれるといいだの、インスタントコーヒーをいれるといいだの、バナナがいいだの、ネットには様々な情報があふれているのである。 その分量をちゃんとレシピに基づいて入れるのであれば、おそらく後々味のバランスに苦労することはなかったのであろう。

でも、性格上ボクはそんなことには無頓着なのである。 これくらい入れれば、こんな塩梅の味になるか!と感覚的にいろいろカレーに入れていく始末。 カレーという食べ物は様々なものを入れ込んでも、すべて化学変化でいい方向に味を調整してくれるモノだと信仰のようなものを抱いていたのである。

こんなテキトーに味の加減をしているものがウマくいった試しはほとんどない。 味見をすると何かが足りない。すると今度は調味料の『さしすせそ』を使って、調整し出すのである。 ますます、自分の思う方向とは逆の食べ物にカレーが変容していく。 しかし、美味しいか美味しくないかというと、個人的には美味しいのである。でもこれは決してカレーの味ではない...(^^;)ハハハ。

そんなカレーライスとの格闘を15年近く繰り広げてきた上で、うちの相方さんの作ってくれるカレーと出会うことになる。 なんか凝った作り方をしているような気配もなく、レシピ通りに忠実に作っていくカレーライス。 これが美味しいのである。カレーの味がするのである。カレーライスとは斯くあるべきものなのである!

よくよく基本に立ち返るとなぜこんなことに気が付かなかったのか?という灯台下暗し的な結論なのだが、家庭で作るカレーライスはたいていは食品メーカーのカレールーを使うことになる。 これはいちいちカレーのスパイスを調合せずとも、このカレールーに最低限人参・玉ねぎ・ジャガイモ・肉の出汁が加わることによってちょうどいい塩梅の味わいになるように調整されたものである。 この組み合わせでちょうどよく万人受けするような味になるように、食品メーカーが長年切磋琢磨して作り上げてきたのがジヤパニーズカレールーなのだ。

だから、下手に懲りすぎて変化球を投げるよりも、余計なことをせずにシンプルに作った方が美味しいのである。 なぜこんなことに長らく気づかなかったのか? これは、ボクの性格である大雑把であることの他に、『凝り性』というオタク気質が多分に影響を与えているものだと思われる。 なので、家庭でのカレーライスの極意には気づいたものの、ボクはキッチンに立つことは控え、うちの相方さんの作る『カレーライス』を待ち焦がれることにするのである。