『池袋』とはなかなかオモシロい街である。 山の手副都心として、新宿・渋谷・池袋として同列であるかのようにその名を轟かせてはいるが、他の新宿・渋谷とは明らかに異なる空気感を漂わせているのが『池袋』という街である。
池袋にはなにより、新宿・渋谷といった繁華街とは異なり、繁華街であるにも関わらず街のそこかしこに『生活臭』が漂っているのである。 これは、池袋東口、西口に限らず、JR池袋駅を点とした周囲360度見渡してもそこかしこにれっきとした『生活臭』が漂う街なのである。
その理由は、JR池袋駅を中心として出来上がった360度の駅前繁華街に隣接して、ジモティ達の生活区域が形成されている点にある。
特に西口から北口にかけての一帯は繁華街の周辺区域はすでに生活区域が混ざり合っており、ちょっと繁華街を歩いているうちにもう一軒家に出くわすことになるのである。
まさに、繁華街と生活圏が一心同体と重なり合っているからこそ、どこに行ってもそこはかとなく生活臭を感じざるを得ない街。それが『池袋』なのである。
従来より、池袋の垢抜けなさを埼玉西部から大量輸送する東武東上線・西武池袋線沿線民、JR埼京線さらには湘南新宿ライナーで群馬・栃木方面からも護送されてくるJR沿線民がたどり着く、最初の『TOKYO』である夢の街『池袋』を闊歩する埼玉県民、北関東県民のせいにすることが多いが、それ以前にボクは街に漂うジモティの生活臭こそが池袋がいつまで経っても垢抜けない最大の原因だと思っている。
しかし、ジモティであるボクはそんな池袋を『都内最大の地方都市』と呼び、愛してやまないのである。
そんな繁華街と生活圏が重なり合う池袋では、非日常を楽しみに訪れている観光客と、ジモティが普段使いしているお店で隣り合わせになることが多く、実にそのテンションの違いさ加減に顎が外れそうな会話を恥ずかしげも無くしている姿が見かけられるのである。
例えば、先日こんな素敵なカップルの会話に出会った。場所はうちの近所のやよい軒。 というか、すでにこの時点でなんでデートのランチにやよい軒？とボク的には不思議フラグが立ちっぱなしなのです。もっとほかに雰囲気いぃ～お店あるでしょう？と心の中で突っ込みまくりな週末のランチのひと時なのです。
ボクらが席について、最初のうち聞こえていたのは他愛もない若いカップルの会話。見た感じはどちらも20代前半といった感じ。それが、そのうちなかなか興味深い問いかけを彼のほうから彼女へ投げかけたのですっ！？
♂『2ヶ月間サッカーに集中させてくれないか？』 ♀『だったら、その2ヶ月間別れることにしようよ。私もその間自由に過ごすから。』 ♂『こっちはサッカーに真剣に取り組もうとしているのに、別れて自由に過ごすって、それマジキチじゃね？』 ♀『あなたの都合で会わないっていってるのに、マジキチっておかしくない？そもそも私、スポーツ選手とか支えられる自信ないし。』 ♂『有名選手とかなったら、海外とかでいっぱい遊びまくれるじゃん？そういう暮らしとかしてみたいと思わない？』
実に幸せな会話なのだ。 お互いにそれぞれ今の相手をキープしておきたいという欲望がみえみえなのにもかかわらず、当のご本人たちは知ってか知らずか。相手の気持ちなど忖度する気はさらさら無いらしく、彼も彼女のどちらも自分の条件を相手に飲ませることにしがみつくダラダラとした会話がその後も続くのである。
というか、これ舞台はやよい軒なんですよ。普通の声で話していたら、隣の席には意識して聞かなくても全部話の内容が聞こえてくるような距離感なんですよ。
この子達は非日常の街に遊びに来ているから恥ずかしくもなんとも無いのだろうか？かたや日常の昼飯を喰いに来ているジモティにとっては、斯様な若かりし故のアホさ加減に満ち溢れた会話を聞かされなければならないのはもはや、環境権の侵害でしかないのですっ！！(笑)
結局、このお二人、食べ終わってからも20分近く押し問答を繰り返し、一瞬彼女のほうが折れそうになりつつも、盛り返したりという紆余曲折がありながらも、結論に至ることなく席を立ち上がり...。
ヲイヲイ！そこで終わりかいっ！と口に出せない突込みを心の中で叫ぶのです。この間、隣席のボクらといったら、おかしくて口に含んだご飯を噴出しそうになるのを堪え、この状況を口に出してうちの相方さんと共有することもできず、我慢しながらただただ目の前の食事を済ますことに費やしていたのです...(^^;)ハハハ。
そんなこの日のやよい軒のメニューはこちら。
ボクはしまホッケ定食に納豆と玉子焼き、うちの相方さんはチーズハンバーグ定食。
隣のカップルが席を立った後、もう我慢しきれず思いのたけをぶちまけあった我が家なのです...(^^;)ハハハ。
