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“TEAM H末端構成員”が妄想と現実の狭間で戯れます。

空から降ってくる音楽との付き合い方【Apple Music&LINE MUSIC】

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7/1のApple Musicのサービス開始とともにこの夏に向けてのサブスクリプション型の国内ストリーミング音楽サービスは出そろった感がある。 クドいですが、一体SonyさまがSpotifyと手を組んだPlayStation Musicは一体いつになったら国内リリースされるんでしょ??

ということで、ゲームに限らず実は音楽業界でも一大勢力であるSonyさまの腰がなかなか重くて現状に居座り続けている中、この数ヶ月で大手は次々サービスを開始しちゃいました。

サイバーエイジェントとエイベックスが組んだ先進的なのかヤンキーなのか、なんかデジタルマイルドヤンキー臭が香ばしい『AWA』。 自らの音楽サービス国内展開には腰が重いSonyさまが目先のユーザ数に目が眩んでエイベックス&LINEと組んだ『LINE MUSIC』。 海外のSpotifyすら試聴経験もないのに勝手にサブスクリプション型音楽サービスの真打ち!と祭り上げられている『Apple Music』。

と5月下旬か7月1日にかけての一か月強で、ネット経由で空から降り注ぐ音楽環境は一変しました。 というか、ちっと前からSonyMusic Unlimitedに手を出してはサービスが無くなり....途方に暮れているウチに出会ったau系のKKBOXで慣れつつあったボクのリスニング環境はこれら新サービスの開始とともにまたもや再考を促されることになったのです。

Apple Music、AWA、LINE MUSIC、KKBOXのどれを残すか?

以前のApple Musicサービス開始時のエントリーでもご紹介したとおり、新サービス開始とともにボクのiPhoneの一軍画面には4つのサービスのアプリが鎮座坐して在らせられる。

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音楽アプリで一列というのもなんか無駄なので、なんとかこれを2つくらいまでに抑えておきたいところ。 7月中にはなんとか決めたいなぁ〜と7月に入りちと真面目に各サービスを比べてきたところなのである。 音楽というモンは好きな本と同様に非常に個人的な嗜好に基づくモノなんで、以降の考察はあくまでボクの主観だけに基づいた判断であることを最初に断っておくこととする。

それぞれのサービスの特徴

  • KKBOX
    Music Unlimited終了後に乗り換えたau系のサブスクリプション型サービス。
    プレイリスト、オフライン対応、マルチデバイス対応、今聴いている他ユーザの曲をリアルタイムで聴けるコミュニケーション機能等機能は豊富。
    気に入ったアーティストのアルバムを丸ごとプレイリスト化出来たり、聴視ランキングに基づくアーチスト毎の人気曲のリストがあったりと気に入った曲からアーティスト単位で幅を広げさせる動線作りや、お気に入りのKKBOXユーザが出来ればその人経由で発見を促したりとユーザの音楽環境を整えているのはさすが、一歩先にサービス開始しただけのことはある。
    洋楽、邦楽ともに揃えている感があり偏りがない。唯一他サービスと異なる偏りはアジア系アーティストの楽曲が豊富(笑)<アジア発だけに
  • AWA
    5月末にその後の一連のサブスクリプション音楽配信サービスの先陣を切ってサービス開始。
    キュレーターによるプレイリストの他にユーザによるプレイリスト公開機能あり。今のところオフライン未対応(8月に対応するとか?)、対象デバイスは今のところスマホのみ。
    まだまだ機能的にはこれからの感が否めないものの、今後対応予定の機能としてローカル音源再生機能が注目。ようはAWAの楽曲以外にもローカルでデバイスに転送している楽曲も再生対象になるということらしい(Apple MusicとiTunesの統合みたいなもん?)。
    最近になってTVCMも展開し始めており、存在感を再度示そうとしているのか?
    いろいろとこれから頑張りますっ!感が出ているのはいいが、一通りサイバーエージェントのガンバリどころが一段落ついて、運営中心に軸が移った際に残りのエイベックスがどこまで踏ん張りがきくのかいまいち信用出来ないボクがいる......(^^;)ハハハ。
    最初はアプリのUIもかっこいぃ〜じゃんっ!て思ってしまったモノの、なんか日が経つ毎にデジタルマイルドヤンキー臭がしてきたのでどぉ〜したものかと......。
  • LINE MUSIC
    他のサービスとの明らかな差別化というか優位点はLINEユーザという確固としたユーザを抱えているということ。
    プレイリスト、オフライン対応、対象デバイスはいまのところスマホのみ。今聴いている楽曲をLINEでシェアと、明らかにLINEというコミュニケーションプラットフォームに乗っかった音楽サービスである。
    LINEユーザで一番のヘビーユーザは中高生であろう。また中高生と音楽というのは切っても切り離せない関係にある。というかボクの世代はまだそぉ〜だった。コミュニケーションの一部には必ず『音楽』があったのである。
    そういう意味では非常にLINEユーザ層と音楽というモノは親和性が高い。
    が故にヘビーユーザ層が聴く今流行の邦楽が必然的に中心となるラインナップとなる。この辺のラインナップの偏りがど根性音楽マニアの嗜好とどうクロスオーバーするか?という点が今後の課題か?
    とサービス開始当初は思っていたが、後で述べるとおりあまりその辺は気にする必要はないのかもしれない。実は本サービスが一番化ける可能性が高いかも???
  • Apple Music
    Spotifyがいつまで待っても来ないので、いつの間にか『黒船』扱いに格上げされてしまったAppleサブスクリプション音楽配信サービス。
    個人的にはこのサービスを利用しないという選択肢は全くないのである。ボクにとっての本命は『Apple Music』なのである。
    これはもう10年近くiTunesで培われてしまったUIが身体に染みこんでしまっているからである。
    これまでの操作感に加えて、Apple MusicのFor You、New、Radio、Connectといった新機能。これらも今までのUIの中に溶け込んで一連の動線を繋げていく。このあたりのAppleのデザイン力はやはり素晴らしいと思う。それだけAppleジャンキーにされてしまっているワケだ...(^^;)ハハハ。
    振り返ると、iTunesiTunes StoreiTunes Match→Apple Musicと自然自然と音楽との関わりを換えさせられて、素直に受け入れさせられているということはなんか恐ろしい...。

と、4社4様の特徴がなにがしかあるもんで、一概にバサッと切り捨てられない感もあるのである。 なので、自分にとってなにが一番重要か?という視点で各サービスを見極めていく必要がある。

音楽はアルバム単位の消費からシングル単位に、そしてこれからはプレイリストへ

この手のサブスクリプション音楽配信サービスに対してボクが求める一番の機能はレコメンデーションもしくはプレイリストである。 この世の中でボクの嗜好を一番理解している音楽データベースはなにか? それはボクのMacの中と雲の中のiTunes Matchである。 かれこれ30年近い音楽生活の中で聴いてきた楽曲がレイティングとともに管理されているこのデータベースに優るモノは無い。

レコードで収集していた時代からCDへ、そしてMP3の登場とともに音楽はプラスティック板からただのビットになりパッケージから解放された。 iTunes Storeの国内サービス開始とともにアルバム単位で買っていた音楽は曲単位で購入可能となり、音楽を聴く身としても一枚のアルバムをじっくり通して聴くというよりも、自分の好きな曲をレイティングし、シャッフルで自分専用有線局のような聴き方になっていった。

最終的にiTunesの中の曲さえ聴いていれば満足ではあるが、それでは進歩がないのである。 従って、このボクの嗜好にあったプレイリストをレコメンドしてくれる機能が一番求めているところなのだ。

優位性はデータベース次第?

サブスクリプション音楽配信サービスに求めることがプレイリストだとすると、いかにレコメンドしてくれるか?ということとレコメンドしてくれる楽曲が自分の嗜好に合っているか?ということになる。

となると一番はやはり各音楽配信サービスが抱えているデータベースの楽曲数ということになるのだろう。

ちなみに各サービスの配信曲数は?というと、

  • 『KKBOX』1,000万曲以上(2015年1月時点)
  • AWA』約100万曲(2015年末までに500万曲を予定)
  • 『LINE MUSIC』150万曲以上(年内に500万曲以上を予定)
  • Apple Music』国内では数百万曲

と、やはり一日の長というかKKBOXが飛び抜けている。Apple Musicを含めその他の3社は100万曲前後とどこも似たり寄ったりなんだろう。 今現在、とにかくいろんな音楽を聴いてみたいという貴兄にはKKBOXをオススメする。

ただ、データベースの収録曲数が多ければいいというモノでも無い。 ユーザの嗜好に近い曲にいかに辿り付けさせるか?その動線を確保するためのレコンデーションがこの手のサービスにはきわめて不可欠なのである。

その点でKKBOXは今ひとつの感が否めない。 このアーティストの曲を聴きたいなぁ〜とユーザ自ら検索をする分には他サービスに比べてヒットする確率は高い。 しかし、受動的にプレイリストをはじめとするレコメンデーションに期待出来るかというと、精度がいまいちの感がある。

KKBOXに比べるとLINE MUSICやApple Musicのプレイリストの方が聴いてみようか?と思わせるモノがある。

斯様にサービスを支えるデータベースの収録曲数とそこに辿り着くための動線であるレコメンド、プレイリストの精度といった両輪がいいバランスで揃わないとサブスクリプション音楽配信サービスというモノはユーザにとって使いづらいモノになってしまうのである。

大きな物語』から『大きな非物語』への置き換えと『データベース消費』の伸張

ここらで閑話休題。 その昔、といってもそんな昔ではないですが、東浩紀は『動物化するポストモダン』で言った。 『大きな物語(世界観)は大きな非物語(情報の集積)に置き換わり、コンテンツはもはやデータベース消費の上に成り立っている。』と。

戦前、戦中、戦後といった世代を超えた大きな物語はもはや存在しないのは確かである。個人の思考は嗜好の細分化とともに様々な形態に枝分かれしており、せいぜいどのクラスタに属するかくらいの共通性しか見いだせない。

個人の思考がそうである以上、『世代を超えたコンテンツ』というモノももはや成立は困難である。 映画、本、音楽といったコンテンツはメディアが仕掛けるベストセラーから、ますます個人の嗜好に合った断片の集積へと移り変わってくだろう。

音楽も同様、もはやCDといったパッケージを知らずにネイティブにダウンロードする世代も存在する。アーティストがその創作能力を振り絞って作り上げた『アルバム』というパッケージもプラットフォームは容赦なく1曲1曲の断片に切り分け、音楽データベースという大きな非物語に集積を繰り返していく。

音楽を聴きたいユーザを『大きな非物語』の中から物語性を加味して導くのが『プレイリスト』である。 このような聴き手側の環境の急激な変化に創作者であるアーティストの創作意欲がどこまでついて行けるのか、まだこれからいろいろと問題は出てきそうな気がするが、一度始まってしまったこの聴き手側の自由は早々簡単に手放すコトはないと思う。


音楽は『ながら』で消費されるコンテンツ

サブスクリプション音楽配信サービスが、iTunes Storeのサービス開始以上のインパクトを聴き手側にもたらすと思うのは、オタク文化における『データベース消費』の様な比喩ではなく、『データベース消費』そのものを促すプラットフォームであるからである。 そこにはもはやアーティストが苦労の末に意味を込めて作った『アルバム』としての意味合いはない。 大多数のユーザは好きなアーティストを貪り聞き込む様な音楽愛好家よりも、気に入った曲に近い感じの曲を欲しがるだろう。 もはや、アーティストやアルバムといったキャラクターやパッケージよりも『今の自分の気分』にあった曲に即座にアクセス出来るかどうか?が一番大切なこととなろう。

なぜそのような音楽コンテンツ消費となるかは、ボク自身iTunesで管理する曲の有線局化ということで、長年経験してきたことであるが、音楽というコンテンツは聴き込む時間も多少はあれど、『ながら』で聴ける唯一のコンテンツだからである。 読書をする。掃除・洗濯をする。調理する。勉強する。仕事をする。第一でやらなければならないタスクをしながら、音楽は同時並行で聴けるコンテンツなのである。

従って、元々『その時の気分を盛り上げる音楽という名脇役』が、昨今のサービス開始でようやくユーザ側からの動線をプラットフォームとして整備がなされたということになるのだろう。

今後ますます、音楽の選択肢の重要な指針は『気分』ということになろう。 サービス事業者は、自らのユーザ層を細分化しそれぞれの層に対していかに今の気分にマッチした曲をレコメンド出来るか?すぐに聴きたくなるプレイリストを提供出来るかがサービス拡大の鍵になると思う。

音楽上級者による人的なキュレーションが得意な『Apple Music』と音楽好きな友だちが薦めてくれる気軽な『LINE MUSIC』

ということで、久々に長々宣っちゃったので、脳味噌が耳の穴から垂れ流れてきましたが...(^^;)ハハハ。

おそらく自分の音楽ライブラリにあまりこだわりなく、その日その時の気分で音楽を聴きたいということであれば、『KKBOX』が一番のオススメ! 邦楽、洋楽、アジアンポップスと幅広いラインナップは他のサービスと比べるまでもなく。 また、デバイスも各種対応しており一日の長感がある。最近のサービスに比べてかなり地味ですが実力はいまのところ頭3つくらい飛び抜けています(笑) しかし!ボク的にはなんかモノ足りないのです&個性がないところが、今後どうかな?という点で選考から漏れるのです。

で、結局どぉ〜なのよ?お前さん??どのサービスを残すことにするんだい? ということに対しては、多分、残るのはこの二つ。 『Apple Music』と『LINE MUSIC』。

Apple Musicはもはや腐れ縁というか一蓮托生というか、やはりボクのiTunesライブラリとの統合、またこれまでの溜まりに溜まったボクの嗜好をGeniusで吸い取ってもらっていつかボクの嗜好にぴったし合ったレコメンドがなされるんじゃなかろうか?という淡い期待です。 iTunes Storeもサービス開始当初は期待外れのショボいもんでした。が、ショボければショボいなりに当時松崎しげるの『愛のメモリー』がiTunesチャートを駆け上がる等の不思議な現象を引き起こしてしまうのが、ネットサービスのオモシロいところ(笑)

これがボクにとって第一のサービスであることには間違いありません。 ただ、最近ちょっとApple Musicが薦めてくるプレイリストがちっと気に障るのです。 これはあくまでボクの主観ですが、なんかApple Musicのプレイリストって、音楽通キュレーターによる人的なモノがウリではあるモノの、それがなんか上から目線で気に障るんですよね。 A『ほら、これ聴いてみろよ!』 的な、ちっとワザと外した感のあるプレイリストが癪に障ったりしています。こっちはもっとキャッチーな流行モンが聴きたいのにっ!!!とか思うこともしばしば(笑)

それに対して、当初は一番先に選考から外すと思われた『LINE MUSIC』がここに来て残そうかと思っているのです。 サービス自身はまだまだこれから。アプリのUIもAWAほど格好いぃ〜!と感じることもなく、なんかApple UIのパクりじゃね?とか思うところもありますが、実はApple謹製のミュージックアプリよりも使い勝手がよいという..(^^;)ハハハ。

そしてなによりLINE MUSICにはその昔、中学の教室で同じ音楽好き仲間と好きなアルバム、アーティストの情報交換をしあったときのような同級生目線での、 同『ねね!コレ聴いてみてよ!すっげぇ〜かっこいぃ〜で!!』 というくらいな気軽なレコメンデーションを感じるんです。

これはLINEグループを日常的に使っているユーザであればよりネット上での同じようなコミュニケーションが可能になるでしょう。

Apple Musicが音楽上級者による啓蒙っぽいアクションでユーザに新たな音楽体験を促すのに対して、LINE MUSICはLINEと同様に教室のコミュニケーションをネット上に置き換えて、その情報の一つに音楽を加えたという点で、それぞれコンテンツ重視かプラットフォーム重視かという点で、同じ音楽配信サービスといえど設計思想が違うんじゃなかろぉ〜か?という点がオモシロい!
ということで、無料体験期間が過ぎる前にAWAは解約せねばっ! KKBOXさんは短いお付き合いでしたが、中継ぎありがとぉ〜ございましたm(._.)m