男と女の友情?


クリスマスイブは前日のパーティーの残りを片付けながら相方さんと一本の映画を観た。


恋人たちの予感 (特別編) [DVD]
この日選んだのは「恋人たちの予感」。
もう、これで何度目だろうか?
めったに映画を繰り返し観ることのないボクにとっては珍しく両手弱くらい観ている作品だ。
不思議とその時々でこの映画のテーマの感じ方が変わってくる。
だから、観るたびに新鮮な気分を味わえる映画だ。



初めて観たのは劇場でロードショウ公開をしたとき。
当時は学生でモンモンとした下心を無理やり押さえ込み、サワヤカ君コーティングで身を包み、デートに誘った女の子と観にいった。


おそらく、この映画のわかりやすいテーマは「男と女の間に友情は存在するのか?」という、ある意味「卵が先か鶏が先か?」のような永遠の問いかけではないだろうか?


たしかに、映画の序盤でまだ歳若いHarryとSarryがシカゴからニューヨークへ向かうドライブのシーンでHarryはこんな風に言っている。


Harry: What I'm saying is -- and this is not a come-on in any way, shape or form -- is that men and women can't be friends because the sex part always gets in the way


Harry: Doesn't matter, because the sex thing is already out there, so the friendship is ultimately doomed and that is the end of the story.


「男と女の関係はセックスが邪魔をして、友情にはなりえない。セックスが介在したら二人の友情にもひびが入って、その関係は終わってしまう。」というわけだ。


初めてこの映画を観た学生の頃、ボクはこのHarryの言い分に「???」だった。
だって、中学時代からずっと親友の女友達は身近にいたし、友情に男も女もないだろうと。
下心を無理やり押さえ込んでデートしているボクとしては、とてもじゃないが大っぴらにセックスを相手に意識させるような言動は慎まなければならない(笑)


まぁ、そのときのシチュエーションを考慮しても、ボクは男女の間に友情は成立するとこの頃は思っていた。



その後、人並みに何度か大人の恋愛も経験してこの映画を見返したとき。
さすがに、男女の友情はないだろう!と思っているボクがいた。
映画の中のHarryと同じ心境である。セックスはやはり邪魔なのだ。
それを意識したとたんに友情というフラットな関係ではなくなってしまう。
友情っぽく見えたとしてもそれはどちらかが我慢している状態なのだ。いずれ、その我慢に耐えられなくなる。



そして今回。
ボクはいま相方さんと非常にリラックスした関係にある。


映画のシーンの合間合間に直接ストーリーに関係ない老夫婦のインタビューが挟まれている。
今までは、なんかこのシーン邪魔だなぁ〜とか休憩タイムか程度にしか思っていなかったのだが、今回はこのシーンがすごく気になった。
最後にはHarryとSarryがこのインタビューに答えるシーンで終わるのだ。
なんで、いままで気がつかなかったんだろう?


やはり男女の友情は存在するのだ。
でも、いわゆる友達関係とはちょっと違う。
愛情を共に分ち合う中での友情とでもいうのだろうか?
昔、チャーミーグリーンのCMに手を取り合って歩く老夫婦が出ていたが、あんな関係だ。


HarryとSarryは若い頃出会い、あまり良い印象を持たずにそのままそれぞれの道に歩き出す。
社会に出て偶然二人は出会い、友達としての付き合いが始まる。
長年の友達関係はやがて秘かにお互いの心の中で愛情に変わって行き、2人は恋に落ちる。


いろいろと紆余曲折のあった2人のストーリーはこれでハッピーエンドではないのだ。
最後の2人へのインタビューと途中に入れられた老夫婦のインタビューがここで重なる。
愛を育んだ2人がお互いを人生のパートナーとして認めたとき、そこにまた友情が芽生えるのではなかろうか?
どちらかが相手を世話したり、従属させたりという一方的な関係ではなく、共に人生を歩んでいくパートナーには愛情だけではなく友情が必要なのではないか?とボクは感じている。



映画のラストシーン、ニューイヤーパーティーでHarryは自分の想いをSarryへぶちまける。


Harry: I love that after I spend a day with you, I can still smell your perfume on my clothes, and I love that you are the last person I wanna talk to before I go to sleep at night. And it's not because I'm lonely and it's not because it's New Year's Eve.


Harry: I came here tonight, because when you realize you wanna spend the rest of your life with somebody, you want the rest of the life to start as soon as possible.


「一日一緒に過ごして服に付いたキミの匂いが好きだ。一日の最後におしゃべりしたいのはキミなんだ。残りの人生を誰かと過ごしたいと思ったら、出来るだけ早くその残りの人生を始めたいって思うだろ?」


心の中で相方さんに向けて同じようにボクの想いをぶちまけ、感極まって号泣していると、下のほうからあの全てを見透かすような純粋な眼差しで覗き込み.........。


「泣いてンのぉ〜???.........プププププッ。」
楽しげに笑い転げている相方さん......。



この人でホントにいぃ〜のだろうか......(T^T)。