先駆けすぎて無駄に過ごした十数年......。

 
今いる本社ビルのとなりに新しいビルができた。
10年前ならいざ知らず、いまどき「○◎ビル ANNEX」だ...(^^;)ハハハ。


今週あたりから近隣各地に散らばっている担当の引っ越しが始まるという。
また、この地の昼間人口が増えるらしい。
というか、よぉ〜やくこの地も再開発が行われている。埠頭のところはショッピングモールやマンションが建設中であり、後数年で市場もやって来る。


思い起こせば10数年前。
新入社員のボクに課せられた最初の仕事は新本社となる今のビルへの引っ越しプロジェクトの一環だった。


”高度情報化社会への先駆け遷都!!!”


当時の引っ越しプロジェクトのスローガンだ...(^^;)ハハハ。
高度情報社会ぢゃなくて高度情報「化」社会とまだ「化」がついているところが時代環境を匂わせる...プププッ。
当時は虹橋の麓の箱庭の開発に続き、この地周辺及びとなりの埠頭周辺も合わせて大規模な湾岸地区再開発が行われる予定だった。
だから、恥ずかしげも無くスローガンに「先駆け遷都」なんて文字を入れてしまったのだ。

が、イキオイで当選しちゃった知事の路線変更により箱庭開発も規模縮小、この辺の再開発はどこへやら?その後再開発が再開されるまで10年の月日を必要とすることと相成った。


んなこといっても、うちの会社は全社プロジェクトで動いてしまってる。いまさらお引っ越しを止めることもままならない...。
そんな事情は新入社員のボクにはどぉ〜でもいぃ事で、目の前の課題を片付けるしかないのでありました。


当時のボクは日々疑問に感じていた。
たしかシステム屋さん(当時はIT企業なんてコトバはなかったのだ)に就職したはずなのだ。
が、なぜか毎朝八時に建設現場に集合して、ヘルメットに作業着を着、腰には安全帯、靴は足先が鉄で覆われている安全靴を履いて、現場のガテンなオジサンたちとラジオ体操をしているのだ......。


ボクの最初の役割はビル工事に伴い社内システム用のLAN配線や、システム開発をする我が担当が建設現場に入ってうまく作業できるように設計事務所の運営をすることだったらしい......。


お昼になると、建築JVの打ち合わせ室に集まり「職長会議」に出席しなければならない。
周りを見渡しても、みなゴッツイ親方ばかりだ......。
会議が始まるまでそこかしこでチンチロリン花札に興じていらっしゃる......。
右も左もわからない若造はボクだけである。
.........上司を恨んだ。


ここでは当日及び翌日の現場の搬入路の連絡や、各現場の調整が行われる。
この情報を各自持ち帰り、安全に工事を進めなければならない。
この指示を無視して勝手なことをやらかすと恐ろしい目に遭うことになる。


結局、このプロジェクトでは設計事務所の雑用係がほとんどでシステムらしい仕事といえば、当時NTTがサービスしてたCAPTAINっていう情報提供サービス用の機器をつかって、試験用の画面をいくつか造ったことくらいだ。
最初の経験がこんなワケワカな仕事だったんで、多少の変な仕事はなんの苦もなくやり遂げる変な度胸が身に付いたし、そんな思い出がある今のビルにはどことなく愛着がある。


でも、この先駆け遷都。
先駆けて旗を振ったのはいぃ〜ものの、さすがにその後10数年間、うちの後を追って進出してくる企業はどこにもなかった...(^^;)ハハハ。
何事も先駆けすぎは理解されないもんである。