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電子書籍・コミックサミットin秋葉原「著名作家と出版社が電子書籍の未来を語る!」での作家福井晴敏×講談社副社長野間省伸の対談を聞いて感じた違和感


忘れないうちに書き留めておこうと思い走り書きしたもんなんで、文書があちこち整理されてなくてすいません。


ここから

当日はまだ展示コーナーをオープンにしていないこともあり、セミナー出席者はほぼビジネスマン。
そんな中、出版界のリーダー?として講談社副社長は今の不自然な電子書籍ブームに対してどんな意見を持っているのかと期待して聞きに行ってはみたものの......。


結論から言うと、この人というか出版社の人たちって電子書籍がビジネススキームを変え得る威力を持ち合わせていることに気づいているのか?それとも敢えて気づいていないふりをしているのか?
その、なんか他人事のような当事者感に違和感を感じざるを得なかった。


彼らは自分たちをコンテンツを作るクリエーターとしてしか捉えていないのではないか?
自分たちは作家と一緒にコンテンツを作るのが仕事で、
それを「本にする」のは印刷会社の仕事、
「販売する」のは取次さんと書店さんの仕事、
そんな何の根拠もなく整理されている今の水平分業のあり方を前提にしか、今回の事象がもたらす影響を考えていないように思えた。



確か、福井さんの発言で、「いつの時代でも新しい技術が出てきたときに真剣に対応を考えなければならないのはその技術で職を奪われてしまう人たち」といった事に対して、野間さんは「今の状況でいうと印刷会社さんに頑張ってもらわないとね。」とか「ボクらは直接読者に本を売っているわけではないんで、マーケティング機能が無い」といった発言をしていらっしゃった。


ちょっとこういう場での発言としては軽すぎるんじゃないかとも思えるこの発言の裏には、邪推かもしれないが「ボクらはコンテンツ屋。クリエーターだから。いいものを作っていれば自然と売れていくもん。」といった変なプライドが見え隠れしてとても残念な気持ちになった。


それとこの対談に限った話ではないが、電子書籍の話になると必ずと言って文芸作品をその対象にして話をする。
いったい、今の時代に出版社の年間売上のなかで文芸作品が占める割合はどの程度なのか?
出版社の売り上げを左右するほど大きなマーケットをこの文芸作品なるものは占めているのだろうか?
正直言って文芸書が電子書籍になろうが、紙のままだろうが、今の出版界の斜陽化にはさしたる問題にはならないと思うのだ。
(ちなみにボクは文芸書大好きです。)


ではなぜ、かならず「文芸作品」を対象に電子書籍を語りたがるのか?
まぁ、今回は対談の相手が作家である福井さんなんで当然だったかもしれないですが。
文芸なんかより、より市場性があるにもかかわらずここ数年減少し続けている雑誌やマンガといった屋台骨の商業誌をどうするか?ここにこそ、電子書籍の適用を真っ先に考えるべきだと思うのだが......。

でも、そのためには雑誌というパッケージを電子書籍に対応させるために新たなデザインを施さないといけないとは思う。
ちょっと前までの雑誌というのはフロー情報だった。
いち早く流行の情報、流行らせたい情報を読者に流す。
マスを対象とした情報提供の情流としては週刊、月刊という雑誌のフォーマットでも十分フロー情報だったはずだ。
そのフロー情報がネットを前にフローですらなくなり、とはいえストック情報として扱うほどそのコンテンツの価値や永続性は見出せない。そもそも、「早く」提供することに価値があったような情報であれば、他により早い情報提供手段ができてしまえば、その情報に価値はない。
そんな中途半端な状況に置かれてしまったからこそ、雑誌というパッケージではコンテンツの価値を読者は見出せなくなってしまっているのではないか?
それを呼び戻すには新たな『電子雑誌』のパッケージを提供する必要がある。ここにこそ、それこそクリエーター様々の面目躍如だと思うのだが、なぜこちら方面での話がなかなか出てこないのか?


その底辺には、電子書籍への過剰拒否反応を示す御仁達がよく振り上げる「日本の文化を守るのが我々出版社の使命だ!」というような意味不明な『使命感』=『クリエーターとしてのプライド』があるのではないだろうか?


これって既視感!?マスコミがよく水戸黄門の印籠のように振り上げる「国民の知る権利」という意味不明の『正義感』に似てるなと。
そういえば、この意味不明な『正義感』を振り上げる人も根拠レスな『使命感』を振り上げる人もどちらもコンテンツ屋さんなんだよね。
どちらもプライド高くて、金とモノを交換する俗っぽい商売なんて自分らには関係ないと思っているんだよね?たぶん。




なんか、出版社のトップの人材がやはりこういう思考なんだという現実に直面して、この人らがもっと自分のビジネスを真剣に考えるフェーズor無理やりな環境に置かれないと日本に電子書籍なんてものは根付かないだろうなぁ〜ということを気づかせてくれた有意義な対談でした。