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シズレに魅せられて−PARKER 75 Sterling Silver−


昨年の秋前あたりからつい先日まで、文房具ネタというと手帳がほとんどだった。
というワケで久々に万年筆のエントリーなのである。
万年筆ネタというと昨年の8月以来なのね。

昨年の夏にセーラーハイエースを購入して以来、しばらく万年筆熱も収まっていたのだがファイロファックスを使うようになってからも少しほっそりとして、ガシガシ普段使いできるような万年筆が欲しくなったのだ。
手持ちの万年筆はモンブランP146を初め、ペリカンM400やLAMY2000、カスタム74やプロフェッショナルギア等々、太過ぎはしないがホッソリでもないタイプがほとんどである。
プランクリン・プランナーのバインダーであればなんとかペンホルダーに収まるものが多いが、ファイロファックスとなるとあのあまりにストイックな実用性のないペンホルダー故に、ちゃんと収まる万年筆はせいぜいハイエースくらいなのだ。
ハイエースもその書き味は十分だが、でもやはりちゃんとした万年筆をファイロファックスに合わせたいのだっ!

イメージというかターゲットは決まっていた。
オッサンくさいファイロファックスにはオッサンくさい万年筆がよく似合う。
しかも古びたデザインが相応である。
ボクのイメージする万年筆といえば以前も書いたと思うがモンブランのマイスターシュトゥクの形である。大きければ大きいほどイメージそのもの。
まさに149がボクにとっての万年筆そのものである。

それともう一つ記憶に残っているデザインがある。
小中学校の頃よく目にしていたそのペンは銀に格子模様のペン軸に矢印型のペンクリップが付いていた。
当時大量に出回っていたPARKER 75の記憶である。

オッサンくさくてホッソリした万年筆。まさにPARKER 75こそボクが今求めるデザインの万年筆である。


との思いを胸に、久々に銀座の悪魔の館に足を踏み入れた。
そう、銀座一丁目10番出口のほど近く、近代的なビルに挟まれたあまりにもレトロな同潤会アパートのような佇まい。
その4階にそのお店は迷い込んだ子羊を飲み込もうとひっそりと大きな口を開けて待っている。
ユーロボックスである...(^^;)ハハハ。

ここに来るのも1年半ぶり。その時購入したモンブラン264はヴィンテージモンブランらしくペン先が繊細であり、ガシガシ使うと壊れそうなので大事に使わせていただいている。
すでに製造中止となっているPARKER 75もここならあるはずだ。
と、ドキドキしつつ再び足を踏み入れるとやはりPARKER 75 STERLING SILVERがケースの中に佇んでいる。
新品のシルバーモノと違い、くすんで鈍い光を反射しているボディ。
この古くささこそボクが求めていたモノである。

早速試し書きをお願いして、ペン先の具合を確かめる。
XFということだがも少し気持ち細めのほうがよい。硬度は硬過ぎもせず柔らか過ぎもせず、普段使いするにはちょうど良い。
ヴィンテージとはいえ値段も手ごろ。
良いモノが置いてあってラッキーだった。なにせ、このお店はヴィンテージ万年筆の専門店なので、市販の万年筆を仕入れるのとは違い、自分が欲しいモノかつ状態がいいモノが必ずしもあるとは限らないのだ。

ということで、早速購入。
しかし、ペンの内部は洗浄していない状態で前の使用者のインクがコビリついてるので、これから洗浄するという。
また、ペン先の太さも調整可能ということもあり、その日は持ち帰らずに調整が終わるまで連絡を待つこととした。
と、ここまでは1月下旬の話。
出来上がりは2月末とのことだ...(^^;)ハハハ。

丸々一ヶ月待つこととなるのだが、これがまたなんとも。
ここの商売はOnly Oneであるだけに出来上がるのをだまって待つしかないこの歯がゆさよ。
既製品であれば他のお店を当たってもっと早く手に入れようと思うのだが、それも叶わないので待つしかない。
というわけで、一ヶ月間待ったのである。

しかし、2月末になっても待てど暮せど連絡が来ない。とうとう我慢しきれず連絡を入れたがまだ仕上がっていないとのこと...(; ;)ハラリ。
さらに3月上旬までお待ちくださいとのこと。
これが普通のお店ならふざけんなッ!金返せッ!!となるところだが、なにせOnly Oneのお店である。しかも、購入時はかなり調整依頼の万年筆が溜まっているらしく、ボクのPARKERも調整要の商品を入れるうず高く積まれたトレイに入れられていたんで、まだまだ順番が回ってきてないのだな...と諦めざるを得ない...(T0T)号泣。

また二週間ほど待ってようやく出来上がったとの連絡が来たのである。
ということで、なんだかんだと一ヶ月半待ってようやくお持ち帰りできたPARKER 75がこれである。


銀の格子模様のシズレ!1960年代から90年代初旬まで30年に渡って販売されていたPARKERの代表的なモデルだ。


銀のボディに金の矢を象ったペンクリップ。
以前はこんなのオヤジ臭い!と遠慮してたが、今となってはそのオヤジくささがたまらない(笑)


ペン先も綺麗に磨かれて新品のように蘇っていた。


ビックリしたのがこのインク吸入機構。コンバータでもピストン式でもなくなんて方式なんでしょ?


インクを吸入する時はこのようにボディについているバネの板を押して、内部にあるゴムチューブの様なものを潰して、話すとそのゴムチューブにインクが吸い込まれてくると。スポイトみたいな感じである。

せっかくテーマがオヤジなんだから、インクもあまり明るめではなく渋めにしようと。
かつ、普段使いでガシガシ用途なんで青系は必須。
ちなみに店長曰く、「このペンはインクを選ばないんでなんでもよいですよ!ブルーブラックでも問題ないです。」とお墨付きをもらってたんで、普通にPARKERのブルーブラックをいれることにした。

しかし、ペン先を調整してもらった万年筆ってなんでこんなに書き味変わるんだろ?
このPARKER 75も最初に試し書きした時と調整してもらった後では全く書き味が違う。
最初は若干引っ掛かり気味で硬めのペン先ッぽい感じだったが、今回はその引っ掛かりが全く感じられない。紙の上を抵抗なくペンを滑らせることができる。
万年筆職人さんのこういうお仕事大切だと思います。
同じ万年筆でも、職人の手にかかるとただの道具から自分の手の指先のような感覚にまでそのペン先を研ぎ澄ませてくれる匠の技。
「誘惑」というなのワナを幾重にも仕掛ける様は悪魔の館ですが、その匠の技は神様の技なのです。
このPARKER 75も大切に使わせていただきます。