Queen Rock Montreal & Live Aid


ボクには有名人・芸能人の命日に故人を偲ぶという感覚があまりない。
たいていはROCKSTARが対象になるが、彼らの場合には作品が残っており、CDやDVDで在りし日の作品や姿を目にすることができるからかもしれない。


そんなボクにもただ一人だけこの時期になると感傷的になってしまう故人がいる。
QUEENのボーカリスト、フレディー・マーキュリーだ。

リアルタイムで聞き出したのは彼らがTHEWORKSを発売したころからだ。以前も触れたがフレディーのその出で立ちに脳みそが揺れた。
その後、まだ青臭かった頃のボクにはそのユーモアが理解できず、しばらく遠ざかっていた。
再び聞き出したのがTHE MIRACLEあたり、このころ再びポップでありながらハードな作品が戻りつつあり、と同時にフレディーがなにか重大な病魔に冒されているという情報も入っていたように思う。
いったいQUEENはどうなっちゃうんだ???とやきもきしているうちにフレディー生前のラストアルバムとなるINNUENDUが発表され、その収録曲♪Show Must Go On♪のそのあまりにも自らの命を削り取って、曲に生命を与えんばかりの歌声に、このまま天に召されてしまうのではないか?と思いつつ、QUEENの楽曲を来る日も来る日も聞いていたのがこの年、1991年の秋の頃だった。


そして、1991年11月24日。


この日、ボクは友達に会いに友達の大学のキャンパスに来ていた。
キャンパスのベンチの置いてあったスポーツ紙を何気なく手に取り目にしたのは、ここ数ヶ月この日が来ることは十分わかってはいたが、ほんとうに目にする日が来るとは考えたくなかった事実であった。
「クイーンのボーカリスト、フレディー・マーキュリー。エイズによるカリニ肺炎で死亡」
有名人の死によって涙したのは、このときだけである。
ボクはそのスポーツ紙をぐしゃぐしゃにしながら、よその大学のベンチで泣いていた......。


あれから、もう16年も経ってしまった。
しかし、フレディーが天に召されてからのこの10数年、商売っ気あふれる東芝EMIの商魂のおかげで毎年、必ずといっていいほどこの時期になると新しいQUEENのアイテムが発売され続けている。
特に、数年前ドラマHEROSの主題歌に♪I WAS BORN TO LOVE YOU♪が使われて、QUEENブームが巻き起こってからはさらにQUEENの認知が上がり、ボクとしてもうれしい限り。

今年も新たにCD&DVDが発売された。
ファンの中でも評判の高い、1981年のライブ「Queen Rock Montreal」だ。


ライヴ・イン・モントリオール’81 [DVD]

ライヴ・イン・モントリオール’81 [DVD]


このライブのQUEENはその後、ウェンブリーアリーナでの圧倒的なエンターテイナーぶりを発揮する最終型のQUEENではなく、まだ4人が中心のバンドとしての最後の姿を納めている。
しかも、DVDにはQUEENを地球的な規模のバンドに押し上げた1985年のLive Aidの映像つきである。
この映像が録られたのが1981年11月24日、25日だという。
この日からちょうど10年目の同日にフレディーはその生涯の幕を下ろすこととなる。


ボクとしては、ウェンブリーアリーナのエンターテイメントとして完成されたライブが一番のライブであることには変わりはないが、これは買わないわけにはいかない。
この中のフレディーはまさに真面目なのかジョークなのかさっぱりわからない出で立ちである。
このころから、ハードゲイ的な嗜好が出始めているのだろうか。髪も中途半端、胸毛とギャランドゥ〜は案の定。
しかも白のホットパンツである。
ステージアクションも冗談としか言いようがない......。


でも、ボクにはそんなフレディーが愛しい。
フレディー・マーキュリー。SHOW MUST GO ON!
生涯、ボクにとってQUEENのSHOWの幕が下りることは無いだろう。
スピーカーやイヤホンからはQUEENのSoundをいつでも流すことが出来るし、モニターからは元気なフレディーの姿をいつでも映しだすことが出来るのだから。
今後同タイプのボーカリストは出てこないだろう、フレディーはまさしくROCKの至宝、不世出のボーカリストでありエンターテーナーである。