手帳との戯れ方を見直してみた。

「書く」から考える
    「振り返る」から未来が見える。

ボクは「仕事術」だの「〜術」、「Lifehack」だの「〜ハック」と命名された書籍が大好きなのだ。
ボクのビジネスの師匠にいわせると、「出してはすぐ消え去るようなビジネス書なんか読むな!もっと古典を読めっ!!」という事だが、この手の書籍にはついつい手が伸びてしまう。
ちなみに日経ビジネスアソシエとかも大好物だ。


ただ、生来の天邪鬼気質が起因してか、読んでる最中から「それはないよな」とか「ボクならこうするな」とかいう視線で読んでしまい、批評すると満足してしまうので、この手の書籍のテクニックがなかなか身につかない......(^^;)ハハハ。


そんなボクではあるが、最近読んで久々にほっほぉ〜と思う2冊の書籍がこの2冊である。

能率手帳の流儀

能率手帳の流儀

嶋浩一郎のアイデアのつくり方 (ディスカヴァー携書 3)

嶋浩一郎のアイデアのつくり方 (ディスカヴァー携書 3)



冒頭の一文は「能率手帳の流儀」の帯に書いてあるキャッチである。
はじめのうちに書いておくと、この2冊ともいわゆる手帳術やノート術といったよくあるノウハウ本ではない。
なので、いくら読んでも具体的なテクニックは出て来ないんで、その手の本をお求めの方にはお勧めできない内容である。

ボクが今回感心したのは、小手先のテクニックではなくて常に身近にある手帳やノートと長い時間供にするうえでの心得というか、基本動作といった部分である。
いわれなくてもわかってらぁ〜なという部分ではあるが、こうして目の前に提示されると「そっかそぉ〜いうもんだよな」ということが改めて納得できたのである。


例えば「能率手帳の流儀」のなかで著者の野口晴己はこのように言っている。

現代人にとって衰えがちな「書く」「考える」の部分を毎日鍛えてくれる手近なツールとなってくれます。書くことで、自分自身の昨日を振り返る。一日何をやったのかをたどりながら書き、それを見直すことで、やるべきことをはっきりと顕在化させる。それをもとに今日の計画を立てる。その一連の行為を習慣化できれば、仕事も生きることも面白くなります。手帳に書くということはそういう役割を果たしているわけです。

手帳をいつ書くか、これまた意見が分かれるところです。これまで述べてきたように、昨日やったことを翌朝書いてみることを、私はまずおすすめします。その日のうちに書こうとすると、なかなかまとまらないもの。とくに多くのできごとがあった日など、頭の中に記憶が散乱していて、どれを拾い上げればいいのかわかりません。
そこで思い切ってその日はうっちゃっておきます。ぐっすり寝て、記憶も一晩寝かす。そうすると不思議なことに枝葉末節がそぎおとされ、必要なことだけを書くことができます。
日付をまたぐことで、一日が完結し、総括しやすくなるのかもしれません。

手帳というとこれからのスケジューリングをするため、というイメージを抱きがちですね。スピーディーに能率よく仕事をこなすための道具でしかないと。もちろんそれも大事ですが、さらに重要なことは内省する行為です。

真にやりたいことは、ある日天啓のように空から降ってくるのではありません。それは立ち止まり、自分と向き合い、過去を振り返ることから見えてくるものなのではないでしょうか。

「書く」そして「振り返る」を繰り返すプロセスで「考える」。この行動が習慣化されたときに人生は変わります。

終始、「書く」「考える」「振り返る」ことの重要性が述べられている。しかもこのプロセスを習慣化させるために手近なツールとしては手帳というものがいちばん手ごろなのではなかろうか?というところだろうか。


もう一つの「嶋浩一郎のアイデアのつくり方」では手近なツールとしてモレスキンのノートブックの有用性が述べられている。
とにかく、まずは気になること、ひらめいたことを手近なノートに書き留めておくことが大切であると。その時点でいるかいらないかというフィルターは一切かけないことが重要だ。


この2冊ともに共通するキーワードとして「寝かす」という行為があげられる。
能率手帳の流儀」では、今日の出来事を一晩寝かして翌日に整理された頭で手帳に書く。
「嶋浩一郎のアイデアのつくり方」でも最初にひらめいたことは2軍ノートに書きなぐる。しばらく2軍ノートに材料・断片が溜まったら、その中から残しておきたいことを1軍ノートに書き写す。そのときにはNETとかで付随する情報を付加してさらに有用性を高めた情報として1軍ノートに残しておく。

たしかに、人間の脳という不思議な器官は当日の様々なごった返した情報を寝ている間にうまいこと整理してしまう能力があるときいたことがある。



はたして、「書く」、「寝かす」、「考える」、「振り返る」という一連の行為をうまく当てはめることができるだろうか?


ちょうど最近、メインのほぼ日手帳にはじまり、ユビキタスキャプチャー用にモレスキンだのロディアだの、会社では別途トラベラーズノートを使ったりだのと、はたまた、PIMはEM・ONEでも管理してたりと情報があちこち散乱していたため、この状況をなんとかせねばなるまいな?とは思っていた矢先である。

さっそく、来年度からの新たな手帳使用の前にある程度試運転をしておこうと、この基本動作が可能でありできるだけ情報を一元化する方向で検討した。


まず、ほぼ日手帳だがいままでスケジュール管理、ちょっとしたタスク管理のほか、おもな用途としてはその1日1ページの豊富な紙面は日記としての活用がメインだった。
なので、日々開いて振り返るというよりも、一日の最後にさてさてとその日の出来事を綴るといった使い方である。
当日疲れて帰ってきて、寝る前に書こうと思っても書く気になれない。翌日溜まって分とか考えると日記とは結構しんどいモンなのだ...(^^;)ハハハ。

モレスキンは事実の記入。ユビキタスキャプチャー風というか、とにかく考えずに時系列に事実だけを書いていく。

ロディアはテンポラリーである。


今年はプライベートと仕事でほぼ日手帳トラベラーズノートと2冊に分けていたが、これははたして分ける必要があるのかどうか?
よくよく考えるとあまり意味が無い。というか自分の人生を振り返るという点では1つにまとめてあるべきではないか?と。


糸井重里も10/26のNB Onlineで

「わたくし」の自分と「おおやけ」の自分が交流している状態で入ってます。どっちの自分もお互いに助け合えればいいと思っていて。この考え方がトータルの自分をフルに生かすためにずっと役に立ちます。

といっていた。おっしゃるとぉ〜りであります(笑)



ということで、1冊で豊富な紙面を持つほぼ日手帳を再びメインに考えるのが現実的ではないかと。
ユビキタスキャプチャーもこれ一冊で済ます。



1.時間軸のあるスケジュール欄はユビキタスキャプチャーで使用
モレスキンを持ち歩いてはいるものの、外出先などで記入するよりも社内に居るときに記入するほうが多い...。
ならば、ほぼ日手帳を机上においていても十分なのではないかと。
ということで、1日1ページの時間軸のある左側のスペースは朝の起床から夜の就寝まで、プライベートであろうと仕事であろうととにかく考えずにただ事実だけを当日中にユビキタス
ついでに公私の時間の「見える化」をしてみようと思い立ち、スケジュール欄とメモ欄に区切っている縦の罫線から1マスぶんをそれぞれ、記入した行動に対し「わたくし」の時間か「おおやけ」の時間かに両矢印でかかった時間分の線を引くこととした。
また、それぞれの項目は今まで通り、プライベートは青、相方さんとの項目はピンク、仕事は黒、重要な事項は赤で記入する。


2.メモ欄は翌日の「振り返り」で使用
一晩寝かす方式で、メモ欄は翌日に特にメモしておきたい項目や自分のアイデア、感想を書き留めておく。
これも色あいはスケジュール欄と同様に4色つかって見える化しておく。

ほぼ日手帳の場合、左側のスケジュール欄とメモ欄が1ページにおさまるので、この辺の運用はやりやすい。

もし、来年トラベラーズノートを使って同じようなことをするとなると、週間ダイアリーリフィルと日記リフィルに分かれてしまうので、この辺がやりづらいだろぉ〜なぁ〜


3.スケジュールは月間スケジュールとOutlookを同期。
念のため、EM・ONEとの同期はしておくこととして、ほぼ日手帳の月間スケジュールを主なスケジュール表として運用することとした。
いまのところ大きなプロジェクト1本なので何とかなるが、今後小さなプロジェクトが複数同時進行となると改善の余地は出てくるかも。


4.タスクはほぼ日手帳のメモノートを活用
このところ一番所在が不安定だったのがこのタスク管理で、EM・ONEメインでやっていたこともあり、手帳は持っていてもEM・ONEが手元に無い!という時に困ることが多々有り......(^^;)ハハハ。
やはり手で書いたほうが灰色の脳細胞も覚えているし、ぱっと開いて一覧できるメモとして残しておいたほうが無難であると結論付けた。
ということで、毎年買ってはいるものの1年に1冊すら使い込まず、毎年増え続けているほぼ日のメモノートを活用しよう!と、タスク用に使ってみることとした。
このやり方でうまくいくかどうか分からないが、見開きで左側のページに「おおやけ」のタスクリスト。右側のページに「わたくし」のタスクリストを書き出して運用中。
ちなみに、終わったタスクについては手帳本体の終了日の上部に設けられているタスク欄に書き込んでチェックしておき、いつ終了したかわかるようにすることとした。


5.さらなる「振り返り」のための1軍ノート
通常、事実をユビキタスキャプチャーし、1日寝かして前日を振り返った後、さらに長期スパンで(月単位とか)振り返りをした内容や、書籍や映画、音楽など自分が触れたものの中で残しておきたいことについては別に1軍ノートに記入する。
これは、先日買ってしまったQUOVADISのHabanaノートにしようかと......。



と、とりあえずこんな感じで今週から実施しているところであるが、1日ボォ〜っとしているようで結構いろんなことをやっているのだなと実感(笑)
この「寝かす」というのが個人的にはポイントらしく、翌日の感想メモはなかなか楽しい今日この頃なのである。