美容師とシャンプー台とボク

  
ボクは髪を切りに行く時は美容院に行く事にしている。
高校一年の時、幼少の頃から通っている近所の床屋で当時流行っていた長渕剛風のパイナップルヘアにしてもらおうとしたら......。


ボクは髪を切ってもらうと寝てしまうクセがある。
目を開けると、鏡の中のボクの頭には惨劇が起きていた。


頭頂部の部分のみがスポーツ刈りのよぉ〜に、キレイに刈り揃えられており、同じ長さでツンツンしている......。
頭頂部の部分のみが剣山のようなのである.........。


どぉ〜やら、髪を梳いて髪の毛の長短で髪を立たせるというテクニックをこの床屋の主人は知らなかったのだろう。


翌日から、ボクの側を通り過ぎる度にクラスメイトがボクの頭に花を生けてくる日々となった。



その惨劇以来、ボクはヲトナの階段を一つ上がり床屋から美容院で髪を切ってもらうことにしたのだ。
しかし、この美容院でも一点ツライところがある。


シャンプー台での会話がツライのだ。


身長が台にあわない。
ほとんどの美容院が女性対象だと思うんで、160前後でないとかなり辛い体勢をとらざる終えない。
まず、座高が合わない。
背もたれが角度をつけて下がっていくに従って自ら腰の位置をズラさなければならない。
体が横になったからと言って油断してはならない。
これからのシャンプータイムを快適な時間にするかどうかはこの最後の詰めにかかっている。


つぎに首の位置である。
ここで妥協してしまうと、この後自分は美容院に来ているのか、ジムで首筋のトレーニングをしているのかわからない試練を被ることとなる。



また、会話が微妙。
Yes-Noでこたえられる質問なら対応できるが、答えを言わねばならない問いかけがむずかしい。


店員「洗い残しの箇所はいかがでしょうか?」
ボク「............。」


まず、なにからツッコミましょうか?...(^^;)ハハハ。
これって、質問として成立しているのか?
ボクはガーゼを顔にかけられ、仰向けになって首にかかる体重に耐え忍んでいる身である。
まずもって、ボクのシャンプーまみれの頭がどうなっているかなんて解るわけないのである。
どぉ〜今の状況を判断しろというのだろうか?


つぎに、日本語として成立しているのだろうか?
洗い残しを聞くのであれば、
「洗い残しはございますでしょうか?」
で良いのでは?


まぁ、これにしても自分の頭の状況はわからないのでなんとも答えよぉ〜はないのだが、でもとりあえずYes-Noではこたえられる。


店員「洗い残しはございますでしょうか?」
ボク「いいえ。」


これで、次のステップに進めるというもんだ。


そして再び不思議な質問をされるのである。


店員「濯ぎ残しはありますでしょうか?」
ボク「............。」


まぁ、日本語としてはなんとか理解できるレベルではあるが、これにしても顔にはガーゼがかかってるし、自分で洗ってるわけぢゃないんで頭がどんな状態になっているかわかるわけない。
なんとも答えよぉ〜がないのである。


毎回、律義に答えよぉ〜と検討するが、うまい答えが見つからず状況判断出来てもいないのに妥協して、
「いいえ。」
と答えてしまうボクなのであった...(; ;)ハラリ。