そいつの名は「イタリアン」!

  
日本文化は古の昔より彼の国の文化を採り入れ、巧みに独自文化に変容させてきた。
とされている。


けして、敵対する事無く、自分の範疇に取り込み、まるで自分自身のものであったかのようにその血肉に溶け込ませてしまうこの技量。
かの聖徳太子も十七条憲法のまず第一に「一に曰く、和を以て貴しと為し、忤うこと無きを宗と為す。」と宣言し、あらがう事なく何事も調和が大切であると宣っていらっしゃる。
まさに、これぞ「日の本の国」の真髄である。




さてここに、「イタリアン」と命名される食べ物がある。


たまたま、NETをぶらついていたところ気になったこの記事。
『Excite Bit コネタチープでゴージャス! 新潟名物「イタリアン」を作る』


最初はパスタかと思いきや、記事を読み進めるとなんと焼きそばにミートソースやホワイトソースはたまた麻婆豆腐をかけた食べ物との事......。
しかも、その名はなぜか「イタリアン」
なんてエキセントリック!?!?
しかも、新潟では普通に食されているという......。


焼きそばという中華料理(?なのか?すでに和食の領域のようにも思われる。)にミートソース、ホワイトソースといったパスタ料理の必需品のコラボレーション!
ユーラシア大陸の東と西を結ぶシルクロードが極東の日の本の国で結実した料理である。
これぞ文化のブラックホール、日本の真髄ではあるまいかっ!?
しかも、発祥の地が日本海から大陸への玄関口である新潟である。


これは、さらなる情報を得たい!と隣に鎮座ましまして在らせられる我が偉大なるリーダーが社内SNSへ情報募集の投稿をしたが、いつになってもこの得体のしれない料理に関する情報が出てこない......。
ほんとにこんなもんあるのかっ?


ボクの興味は日に日に増すばかりである。他人の意見を待っていても仕方ない。
ここは自ら試すしかあるまいっ!
そして、とうとう本日、このイタリアンを作ってしまったのであった。


ミートソースや麻婆豆腐はそれなりに味が想像できる。どちらも美味いかどうかは別として、不味くはないであろう。
ここは、今一つ想像できないホワイトソースで挑戦してみるべきではないかっ!
ボクの未知なるものへの迸る探求心はホワイトソースに標準を定めた。


焼きそばは定番の日清焼きそば。3袋で100円もしない小市民の味方だ。
ホワイトソースはハインツのホワイトソース缶を購入。味的にこれなら無難だろう。


いつも通り焼きそばをササッと仕上げ、ホワイトソースを暖める。
が、このままだとなんかコッテリしすぎるようなので、牛乳で少々伸ばす。
このソースを普通の焼きそばにかければ、「ホワイトソースのイタリアン」が出来上がる......はず。





そして、これが「イタリアン」である。


NETで見た外見とほとんど相違ない。おそらくこれで良いのだろう。
が作っていて、まさになぜ!?!?の連続であった。


焼きそばを作り終えた段階で、
「このまま食べればいぃ〜ぢゃん!」


ホワイトソースを暖めながら、
「これはパスタにかけてたべよぉ〜よ!」


とボクの中の理性の囁きが頭蓋部に木霊していた。
しかし、ボクの好奇心を抑える事はできなかったのだ。
気がついたらガバッとホワイトソースを焼きそばにかけていた......。





そんなこんなで、この日本文化の象徴でもある食べ物を前にして、姿勢正しく、礼儀を以て対峙した。
ホワイトソースがかかった部分に箸を差し入れ、おもむろに口内にイタリアンを運び込む。


..................!?


むむっ!?これは......。


結論からいうと、けして不味くはない。
焼きそばだけ食べた時には少々出しゃばり気味であるソースの味がホワイトソースでマイルドになり、ソースが気になる人には食べやすさ感が増すというかなんというか...。
焼きそばソースとホワイトソースが喧嘩して口の中でバラバラになるかと思いきや、以外と馴染むのだ。
まさに、「和を以て貴しと為す」なのである。
日本文化恐るべしっ!?!?




が、冷静に味わってみるとボクは焼きそばは焼きそば。ホワイトソースはやはりパスタにかけて食べたい感が強い。
腹持ちは確かによいが、なんでも混ぜればいぃ〜というモンではないのである。




はなれずに
いつもいっしょに
いたいから
おなじお皿で
イタリアン
たまにでいいよと
ボクはつぶやく




気になる方はオタメシあれ。
ただ単に、焼きそばにホワイトソースをかけるだけで出来上がりだ(笑)